CONCEPT

〖潜〗セン・ひそむ・もぐる・くぐる

「福祉」はこの社会の至る所にある。

でも巧妙に隠されてしまっていて、意識せずに暮らすことも出来てしまう。潜んで(ひそんで)いて、見えない。なんだか、おかしい。


それでも、確かにある。マンションの一室に、街中のアトリエに、あそこの高齢者施設に。

そんな場所で働くことや生きること。目を閉じ、鼻をつまみ、ジャプンと飛び込む。初めは、息を止めて目をつむる。少し慣れて、目を開ける。何かが見える。あれはなんだろう。


潜った先で見えた風景、沸き上がった感情を、支援や業務といった場所から少し離れて自由に語ってみたい。現場で見えた「あの感じ」を掬い上げよう。


その言葉は、飛び込みたいけど勇気が出ない、飛び込んだけど苦しくて窒息しそうだ、そんな人にも届くかもしれない。


そんな想いを込めて編んだ「潜福(せんぷく)」。



〖逃〗トウ・にげる・にがす・のがす・のがれる

潜りこんだ「福祉」という海。

苦しいと思っていた水中も何とか上手くやれている。気付けばエラ呼吸まで身につけた。

だけど、なぜか、息苦しい。海は広いはずなのに、身動きがうまく取れない。


そんなとき、逃げるは恥だが役に立つ。窮屈な思い込みや「これが普通でしょ」という囁きから、うまく逃げ切ろう。

透明な檻からするりと抜け出そう。

リズミカルな息継ぎで、肺に酸素を送りこみ軽やかに泳いでいこう。

人と人が真正面で向かい合う現場だからこそ、そういう知恵と術が必要だ。


そんなことを考えてみた『潜福』第2弾「逃げる」。もっと、自由に。



〖踊〗ヨウ、おどる、おどり

だれかの暮らしの横に立つこと、自分の暮らしを生きること。

息をつまらせながら潜り、隙間を見つけて逃げ出した先に、やっと地に足のついた、自分なりの振り付けが見えてきた気がする。

試しに、踊ってみる。
誰かが、何かを思うだろうか。勝手な意味を、見出すだろうか。

いや、でも、気にしていられない。そうやって、リズムを上げていく、呼吸を高めていく。

そうして生まれた手づくりの表現が、隣のだれかを勇気づけるかもしれない。
気づけば、隣のだれかも踊りだすかもしれない。


福祉は、ケアは、これからもっと広くなっていく。

だからこそ専門性に振り回されず、閉じた世界に固執せず、繋がっていきたい。


福祉を、踊ろう。

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